#258 ヤン・ルカン

常識を持つ AI 実現に向けて重要となる課題や機械学習の手法とは?
ゲスト:ヤン・ルカン - Meta のチーフ AI サイエンティスト、ニューヨーク大学の教授、チューリング賞の受賞者、人工知能の歴史において最も影響のある研究者の一人
[このエピソードのポイント]
Meta のチーフ AI サイエンティストで AI の歴史において最も影響のある研究者の一人であるヤン・ルカンが、人間と同じように抽象的な表現に基づいて世界を理解する高度な AI 実現のための3つの重要な課題と有望な機械学習の手法について説明します。また、高度な AI が実現したとき、AI が感情を持つ可能性やそれに伴う倫理的問題についても見解を述べます。
トピック1:常識を持つ AI の可能性
どのようにして AI に常識や背景知識を持たせることができるか?実現のためには、自己教師あり学習が最も有望とヤン・ルカンは考えています。これについて掘り下げます。
トピック2:言語と視覚のモデルの難しさ
与えられたテキストから次の単語を予測する、与えられた動画から次のフレームを予測する、どちらの問題の方が難しいか?ヤン・ルカンに伺います。
トピック3:AI 研究の3つの課題
2022年になっても未だに猫レベルの AI を見たことがない、とヤン・ルカンは指摘します。そして、猫と人間に共通するのは、抽象的な表現に基づいて世界を理解するという能力が高度に発達していること、と考えています。これを踏まえて、ヤン・ルカンが AI 研究における3つの課題を提示します。
トピック4:データ拡張
ここ数年、視覚システムの事前学習として行う教師あり学習の多くが、データ拡張をベースにしたものになってきています。データ拡張の手法の元となった90年代初めの研究を振り返り、データ拡張のアイデアのポイントを学びます。
トピック5:マルチモーダル学習
ヤン・ルカンはマルチモーダル学習について、「短期的には面白い問題だが、本当に重要な問題としては見ていない」と話します。その理由について掘り下げます。
トピック6:生まれつき備わっている能力
生まれつき持っている能力と考えられているものは、容易に学習できるものなのか?ヒトが持つ極めて基本的な能力は生まれつき備わっているもの、という考えに対して、ヤン・ルカンは「それらの能力の多くは生まれつき備わっているではなく学習されるもの、なぜなら、学習することが容易だから」と考えています。この多くの人は賛同しないが、ヤン・ルカン自身は正しいと考えているアイデアについて説明します。
トピック7:感情を持つ AI の可能性
高度な自律型 AI が実現したとき、AI は感情を持つ可能性があるか?これについて、ヤン・ルカンが考えを説明します。また、感情を持つ AI に対する倫理的問題についても触れます。
トピック8:Facebook AI Research
8周年を迎えた Facebook AI Research がこれまでに成し遂げた業績や Meta 社との関係について伺います。また、Meta 社が注力するメタバースやソーシャルメディアが社会に及ぼす悪影響についても見解を伺います。
トピック9:複雑性
ヤン・ルカンがニューラルネットワークやセルオートマトンに興味を持つきっかけとなったのは、それらが持つ複雑性、単純に相互作用する構成から生まれる複雑なシステムの性質にあると言います。私達はどの程度、複雑性の性質について理解できているか見解を伺います。
トピック10:高校生や学生へのアドバイス
人工知能の問題に関心を持つ高校生や大学生に対して、どのような疑問を持つべきか、何を勉強すべきか、の二つの側面からアドバイスします。