ダニエル・カーネマンは、ノーベル経済学賞受賞者で、人間の行動や判断・意思決定における心理学と経済科学を統合した功績者です。人気著書「ファスト＆スロー あなたの意思はどのように決まるか？」は、認知バイアス、プロスペクト理論、幸福について書かれた本で、エイモス・トベルスキーと共同で行った数十年におよぶ研究成果が分かりやすくまとめられています。この本の論旨は、2つの思考タイプについてです。"システム1"は速い、直感的な、感情的な思考、"システム2"は遅い、熟慮的な、論理的な思考で、それぞれの思考タイプに関係する認知バイアスについて詳しく説明しています。
メラニー・ミッチェルは、ポートランド州立大学のコンピュータサイエンスの教授、サンタフェ研究所の客員教授です。複雑適応系、遺伝的アルゴリズム、人間の認知の類推プロセスをモデル化した Copycat 認知アーキテクチャなど、興味深い観点から人工知能に取り組んでいます。ダグラス・ホフスタッターとジョン・ホランドの指導のもと博士課程を修め、博士課程での研究業績から今日に至るまで、AI における多くの重要なアイデアに貢献しています。
セバスチャン・スランは、現代における偉大なロボット研究者、コンピュータサイエンティスト、教育者の一人です。スタンフォード大学の自律走行車の開発を率い、2005年 DARPA グランドチャレンジで優勝、2007年 DARPA アーバンチャレンジで準優勝を果たしています。その後、自動運転の革命を起した Google の自動運転車の計画を指揮しました。2011年には、スタンフォード大学で人気となった人工知能の講義を行い、これは最初の MOOC (大規模公開オンライン講座)の一つとなりました。その後、この経験からオンライン教育プラットフォーム Udacity を共同設立しています。また、Kitty Hawk 社の CEO を務め、専門用語で eVTOL (電動垂直離着陸機)と呼ばれる、いわゆる"空飛ぶクルマ"の開発に取り組んでいます。
ジュディア・パールは、カリフォルニア大学ロサンゼルス校の教授で、チューリング賞の受賞者です。人工知能、コンピュータサイエンス、統計学において最も影響力ある人物の一人で、ベイジアンネットワークや因果的推論における重要なアイデアなど、AI の確率的アプローチを提唱し発展させました。原因と結果という因果的な解釈を行う能力は、現状の AI に欠けている根幹の問題として存在しています。
ガルリ・カスパロフは、史上最高のチェスプレイヤーと考えられています。1986年から2005年の引退までの19年間のほとんどにおいて、世界ランク1位の位置を占めていました。人間との対局において歴史を残す一方、IBM ディープ・ブルーとの対局でもよく知られています。最初の対局ではディープ・ブルーが敗北したものの、その後の対局ではディープ・ブルーが勝利を収め、人工知能の未来の可能性へ大きな期待を生む出来事となりました。また、民主派の政治思想家で指導者、そして、勇敢な人権活動家でもあります。著書も発表しており、戦略と意思決定に関する著書「決定力を鍛える チェス世界王者に学ぶ生き方の秘訣」、プーチン政権に反対する考えを述べた著書「Winter Is Coming」、今後の未来の鍵を握る人工知能と人間の役割に関する著書「DEEP THINKING ディープ・シンキング 人工知能の思考を読む」などがあります。
デービッド・フェルーチは、IBM Watson (ワトソン)の開発チームを指揮していました。ワトソンは質問応答システムで、クイズ番組「Jeopardy」で人間のチャンピオンに勝利しています。また、Elemental Cognition 社の設立者で、同社の CEO 及びチーフサイエンティストを努めています。この会社では、人間と同じように世界を理解する AI システムの開発に取り組んでいます。
ゲイリー・マーカスは、ニューヨーク大学の名誉教授、Robust.AI 社および Geometric Intelligence 社の設立者です。Geometric Intelligence 社は2016年に Uber に買収されています。また、新刊「Rebooting AI: Building Machines We Can Trust」など、自然知能や人工知能に関する著書を複数発表しています。ディープラーニングについて、その限界を浮き彫りにし、批判的な立場を取っています。そして、汎用人工知能の実現のためには、AI コミュニティが直面している課題を解決しなければならないと主張しています。
